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巡る季節の中で【2】 [尾瀬ケ原]

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【朝陽を浴びて,より一層秋色が深まる湿原】
[空撮に際しましては,関係諸機関への連絡・調整・届出等を行い,許可を得ております]

やや雲が多いものの,月が沈む夜半には回復するという予報を信じて2時頃に起きて小屋の外を眺めるのはいつものおきまりの行動パターン。しかし期待に反して雲は多いまま。星の撮影はできないと諦めてまた部屋で横になる。

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【東の空のオレンジ色に光る雲の切れ間から燧ヶ岳が顔を出す】

撮影準備の物音で自然に目が覚める。4時30分。相変わらずどんよりとした雲が空を覆い尽くし,周囲は薄暗いが,先に外で待機する尾瀬仲間を追って外に出る。

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【朝日を浴びて,眠たげな湿原もやっと目覚めたようだ。】

日の出の時間になっても雲の消える気配はない。おまけに風も強く,朝靄に包まれるような気象条件にはほど遠い。いくら待っても今日はだめかなと思い,朝食の時間までぼんやり過ごすつもりでいると,所々上空の雲が切れ,そのエリアを広げていく。

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【今年は気温が高いせいか,いつもよりも草紅葉の進行は遅れているようだ。】

東の空に広がった雲の切れ間から時折燧ヶ岳が顔を覗かせる。劇的ともいえるほど急速に雲が動き出し,時折湿原に光を落とす。その光がスポットライトとなって,ダケカンバを照らす・・・。この光景を見た時,今朝は飛ばすことはないと思っていたドローンを離陸させた。

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【青空と白い雲を写す初秋の池塘と湿原】

スポットライトはあちこちに動き回っていたが,その明るいところを目指して飛行させた。朝の斜光線に浮かび上がる初秋の湿原。拠水林もダケカンバも長い影を落としていた。短い時間だったが,朝の光が幻想的な光景を見せてくれた。ドローンが戻る頃にはまた雲が多くなったので朝食をとるために小屋に戻る。

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【地上ではあちこちに光が動き,やがて目の前のダケカンバにスポットライトが当たる】

いつもよりも早い時間,それもほとんどのメンバーが顔を揃えての朝食は珍しい・・・。(^^;
食後のコーヒーを戴きながら,ゆっくりとした時間を過ごす間も外の天気は急速に回復していった。気付くといつの間にか,風は強いものの,ほとんど雲のない晴天となっていた。

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【ヤマドリゼンマイの黄葉もまだまだ。このまま暫く霜が降りなければ良いのだが・・・】

小屋の前でいつもの記念撮影を済ませた後は,山ノ鼻小屋で一緒に昼食をとることにして,それぞれ思い思いのルートで下山となった。ボクははじめはヨッピ橋経由で帰ろうとしたが昨日通らなかった下の大堀を経由することにした。じりじりと刺すような強烈な太陽の日差しは今日もあるが,昨日以上に爽やかな乾いた風が湿原を吹き抜け,心地よい。
初秋の風景をカメラに収め,山の鼻小屋でオフ会のメンバーと昼食をとり解散となった。

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【初秋と言うには若干早い気がするほど,暑い2日間だった。】

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巡る季節の中で【1】 [尾瀬ケ原]

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【夕食後,湿原の傍らに三脚を立て夕焼けを待つ。至福の時・・・】

2005年から14年も続くオフ会。ネットで知り合った尾瀬好きの仲間が毎年一度尾瀬の山小屋で顔を合わせている。集まる時期やメンバーは変わってはいるものの毎年盛況で,この日がくるのを楽しみにしていた。

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【湿原も確実に茶色に変色し,徐々に秋への準備を進めていた。】

ちょうど台風が上陸しそうなので,天気が良いうちに撮影をしておこうと,いつもより早めに入山することにした。久しぶりに晴れたためかこの時期にしては入山者も多く,鳩待峠に向かうバスは超満員で蒸し暑かった。鳩待峠着,8時30分。バスから出ると雲一つない空から夏のような日差しが容赦なく降り注ぐが,乾いた風が吹き抜けていた。

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【池塘はヒツジグサなどの植物に覆われているものが多かった。】

森の中で盛んに聞こえていた鳥の声や花の姿はめっきり少なくなり,所々にあるツタウルシなどが一部紅葉し,本格的な秋が近いことを実感する。山ノ鼻に着くと見慣れたザックが山小屋の入り口に置かれていたので中を覗くと,何と写真家の新井幸人氏だった。ちょっとあいさつを済ませ,研究見本園に向かう。

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【池塘のヒツジグサの紅葉のグラデーションが鮮やかだ。】

明日雨が降ったり風が吹いたりしたら,飛ばせないので,真っ先にドローンを飛ばした。
ドローンから見る湿原の色はひと月前とは明らかに違っていた。そして,池塘に写る青い空と白い雲・・・ やっぱり空から見る画像は面白い。
一回フライトして一息ついたので,研究見本園のベンチで簡単に昼食をとる。尾瀬仲間の何人かは既に龍宮小屋に着いているようだ。

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【いつもより少し早く咲き出したエゾリンドウ】

まだ時間はあるので上田代周辺をフライトしたり,ヨッピ経由でヤマドリゼンマイの紅葉の進み具合を確認したりしながら龍宮小屋までゆっくり歩く。湿原の草紅葉の進み具合もヤマドリゼンマイの黄葉も,気温が高いせいなのか例年よりは遅れているようだ。ゆっくりと秋色に模様替えが進む湿原の中でひときわ目立つのがエゾリンドウ。他にウメバチソウ,ミヤマアキノキリンソウ等の湿原の花の最終ランナーが競って咲いているのを見ると今年もシーズンが終わるのだなぁと実感する。

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【ヤマドリゼンマイの黄葉はいつもよりも遅れているようだ・・・】

小屋にいつもより早めに到着して,尾瀬仲間の集まるのを待つ。皆それぞれのペースで尾瀬を楽しみ,徐々に尾瀬仲間が顔を揃える。オフ会前だが,小屋主さんを交え久しぶりの再会に話が弾んだ。

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【ナナカマドやヤマウルシの紅葉は遠くからも目立つ。】

夕食後,雲は多いが夕焼けを期待して湿原傍にカメラを設置して待つ。青い空が黄からオレンジ,そして赤に変わるのをぼんやりと眺めている時間は,何物にも代えがたい贅沢な時間である。
大勢の尾瀬仲間がカメラを構える中,少しだけ空も焼け,日が暮れていった。

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【見た目以上に秋への準備は急速に進められていた。】

暗くなってからJUNさんによる星空観望会が行われ,宿泊者が熱心に望遠鏡をのぞき込み,月のクレーターや木星,土星等の姿を確認していた。いったん部屋に戻り,小屋の食堂にいつものように尾瀬仲間が集まる。今回は都合がつかないメンバーも多く,参加者はいつもより少なめだが,たもあみさん夫妻も参加して賑やかに会は進んだ。

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【台風が接近している影響なのか,強い風が湿原を吹き抜けていた。】
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夏がきた【3】 [尾瀬ケ原]

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【三条の滝のパノラマから(空撮した写真は何れも許可取得済みです)】

 昨夜,満天の星空を満喫し,朝靄や白虹への期待が高まる。まず,外の様子を確認すると朝靄に覆われていたので,晴れているのだろうと信じて疑わなかったが,外に出てみると上空はほとんど雲に覆われていた。天候が急回復するのを期待して周囲を散策する。朝露を纏ったキンコウカやコバギボウシが,柔らかな朝の光に照らされて美しく輝いていた。

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【平滑の滝・A】

 昨日同様,朝靄は徐々に上がるが,上空の雲はなかなか取れない。大きな変化も無く,いつの間にか朝のゴールデンタイムは終了した。空撮するまでもなく小屋に引き上げた。

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【平滑の滝・B】

 朝食後のがらんとしたロビーで暫く小屋主さんと談笑し,龍宮小屋を後にした。変化の少ない真夏の湿原の空撮だけでは物足りないので,滝を撮影することにした。その前に東電小屋経由で神﨑さんに挨拶して平滑の滝に向かった。

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【平滑の滝・C】

 真夏の直射日光に晒され続けた体に,元湯山荘の大吟醸ソフトクリームが染み渡る。ここでのんびりしている訳にもいかないので平滑の滝に向かうと直ぐに平滑の滝展望台に到着した。ここので空撮は2度目だが,視界が効かないし川幅が狭いのでコントロールが難しい,そして,それほど電波状態が良くないのも不安な点だ。適当な場所を見つけて離陸した。

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【三条の滝・A】

 上空からは急な斜面をかけ落ちる平滑の滝の全容が確認できる。しかし,これだけではあまり面白味に欠けるので少し高度を下げる・・・。最近NHKで見た平滑の滝の空撮のような動画を撮りたいとも思ったが,あの高さに下げるのはかなり不安があったので,自重して今回はちょっと高いところから撮影した。

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【三条の滝・B】

 次は本命,三条の滝だ。梅雨明け直後でもあるので尾瀬ヶ原に降った雨の落ちどころとなる三条の滝は相変わらず水量は多いだろうと思ったが,雪溶けの時期に比べたら,やはり雲泥の差があった。それでも三条の滝が近づくにつれ,響き渡るその爆音に気持ちが高まる。

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【三条の滝・C】

 周囲を樹木に囲まれているため電波状態は平滑の滝よりも悪い。しかも,三条の滝の水を下方に押しやる強い下降気流があるけれど思うように飛ばせるのか,平滑の滝以上に不安要素がいっぱいだ。慎重に観瀑台から上空に向けて離陸させる。水しぶきを受けないようにやや高い所から撮影を始め,徐々に高度を下げる。突然,画面が乱れたりすると飛行を止め,慎重に飛行させ,何とか三条の滝の勇姿を撮影することができた。

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【トモエソウの大群落。何故かここだけ凄いことになっていた。】

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【今年はキンコウカも当たり年のようです。】

 兎田代に続く道はやはり急峻で,重い荷物がズシリと肩に食い込む。午後には雷雨がありそうだと天気予報で話していたので,のんびりしてもいられない。ほとんど休憩も取らずに帰路を急いだおかげで,御池に到着する頃には相当ばてていた。

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【ツルアリドオシだそうです。(てばまるさん感謝です)】

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夏がきた【2】 [尾瀬ケ原]

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【ほとんど波の立たない穏やかな湖面を2羽のカモが行く】

前夜は長時間雲に覆われ,真夏の星々がその姿を見せてくれたのは限られた時間と場所だけだったようだ。朝起きてみても一面の朝靄に覆われ,燧ヶ岳も雲の中の隠れていた。風もなく波一つ立っていない鏡のような水面を切り裂くように,そして静かに鴨が移動していく姿を新しくなった展望デッキに腰掛けぼんやりと眺める。劇的な変化もないまま朝靄もいつしか上がり,穏やかな朝が訪れた。


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【前はここまで行けましたが,今回はドローンで・・・ ドローでの空撮許可取得済み】

撮影時間と確実に重なるはずの朝食の時間もほぼ予定通りの時間に済ませ,小屋の外に出ると,さっきまで上空を覆っていた雲はすっかり取れ,燧ヶ岳も顔を覗かせていた。今日もまた暑くなりそうだ。幸い今日は,樹林帯歩きが多く,直射日光を避けることができるのは有り難い。朝露を纏い朝陽に煌めくニッコウキスゲやコオニユリに見送られ沼尻に向かう。

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【湖面から沼尻方面を望む。  ドローンでの許可取得済み】

 夏の光溢れる湿原に出るとホッとするがそれもつかの間。ジリジリと焼け付く日差しがそこに留まることを許さない。急ぎ足で木陰に逃げ込み,呼吸を整える。今日は平日ですれ違う登山客はそれほど多くはないが,夏休みということもあり,年齢層の若い学生と思しき人が多いようだ。

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【尾瀬沼も小沼も藻が水面を覆っています。】

沼尻に着くと燧ヶ岳に向かう登山道がキンコウカに彩られ黄色く縁取られていた。今年はあちこちでキンコウカを見かけるがその数も多めだ。時期的にもちょうど良かったようで生き生きとしたその姿を目の当たりにする事ができた。キスゲ同様にキンコウカも当たり年なのだろう。

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【始めは穏やかな夕暮れでしたが,徐々に激しい色に・・・】

ここでも空撮を試みる。夏の沼尻,そして小沼を含めた尾瀬沼の光景を撮影しておきたいと思ったからだ。残雪期以外の小沼の様子を窺い知るには上空から見るしかないのだ。実際に飛ばしてみると,沼尻や小沼を覆う水草や真夏の眩い光を反射して輝く水面が印象的だった。

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【龍宮小屋上空は激しい色の雲で覆われていました。】

 今年の梅雨は長く降雨量も多かった。そのため山の水場が枯れるという心配はしなくて済んだ。段小屋坂を横切る沢水にタオルを冷やし,首にかけると体中に溜まった熱が一気に放出される。この天然のクーラーに何度か鋭気をもらい尾瀬ケ原に到着する。

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【キンコウカ。今年はあちこちで大量に見かけました。今年は当たり年のようです。】
 原の小屋で昼食を済ませ,周辺を散策する。熊対策なのか木道に沿い,その両脇約1mの草が刈られ,カキラン等の貴重な植物が無残に刈り取られていた。もう少し慎重にできないものか・・・

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【カキラン。今年は木道周辺が刈られてしまったので,少なめです。】

 光を遮るものがない尾瀬ケ原を長い時間にわたって歩くことは,体調を壊しかねないと早々に龍宮小屋にチェックインして,少し休ませて貰う。風呂と夕食を済ませてから,カメラを持ち龍宮十字路のベンチで日が暮れるのを眺めながらのんびりする。 今日も夕焼けがあるかも知れないという予感もあり,粘り強く待っていると,予想通りどんどんと東の空が真っ赤に染まり出す。昨日に引き続いて2日連続の夕焼けだ。やはりこういう気象条件って続くもんだ・・・

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【コバノトンボソウ。 トンボが飛んでいるように見えますか?】

 撮影を終え消灯時間まで部屋で過ごし,昨日できなかった星の撮影に挑戦する。今日は月明かりを気にせず撮影できる新月。久しぶりに夜の湿原に繰り出すと新月の暗闇は怖いくらいに暗い。動物や虫は息を殺してこちらをずっと監視しているのだろうか,物音は全くしない・・・。星の写真を撮る間,シカや熊に遭遇するのは御免とラジオの音量を上げる。しかし,30分ぐらい経ち,周囲を霧が覆い,それまでスッキリと見えていた上空の天の川や夏の大三角は時々霞んで見えなくなった。この辺が潮時のようだ。

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【龍宮小屋上の夏の銀河と星座たちです。】
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夏がきた【1】 [尾瀬沼]

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 雪が溶けたら尾瀬に向かおう,こんな写真を撮りたいという思いばかりが先行するが,なかなか思うような天候にならない。ドローンでの撮影を考えると晴れて欲しい。貴重な晴れの日は生憎の出勤日と重なるなど思うようにいかない。そして待ちに待った梅雨明け,いつの間にか2カ月が過ぎ去った。やはり,雨でも行くべきだったな・・・。

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【ドローンで上空から見た大江湿原のパノラマ画像。空撮許可取得済みです。】

 御池に着いたのは家を出てから3時間後。9時発のシャトルバスに飛び乗ると車内は平日だというのに多くの乗客で溢れていた。バスは今年から登場した電気(EV)バス。モーター音がするだけの静かな車内には大きめのモニタがあり,尾瀬の見所やEVバスのプロモーションビデオが流されていた。

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【青い空に真っ白な雲。そしてニッコウキスゲ・・・ ついに夏ですね】

 久しぶりに背負う荷物がずっしりと肩に食い込む。ゴゼンタチバナやギンリョウソウの出迎えを受け,季節の移ろいを改めて思う。沼山峠展望台からドローンを飛ばす。ニッコウキスゲの見頃は既に過ぎてはいたが,梅雨明けが遅れ低温の日が続いたこと,シカ柵の対策が功を奏したこと,豊作であったこと等の条件が重なり,見れる状態が長続きしているようだが,上空からはほとんど確認できなかった。

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【日差しを遮るもののない湿原を歩いていると木陰が恋しくなります。】

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【誰が食べたの???】

 大江湿原のニッコウキスゲの群落は徐々に回復傾向にあるようだ。大江川西岸はシカによる食害の影響で,ほどんど花が見られなくなっていたが,今年はポツポツとキスゲの黄色い花が見られた。以前のような大江湿原一面を埋め尽くすニッコウキスゲの群落を目のあたりにするのもそう遠くない日であると信じたい。

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【ヤナギランも先始まりました。もう既に晩夏の様相?】

 長蔵小屋の宿泊者は少なく個室となった。ただ目の前のビジターセンター工事のためのむき出しの鉄骨が雰囲気をぶちこわしていた。

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【コオニユリ。ちょうど見頃であちこちで咲いていました。】

 夕焼けの撮影も望み薄だったので,部屋でのんびりと過ごしていたが,外の異様な雰囲気に慌ててカメラを持って外に飛び出す。空全体が雲に覆われているのに何故か一面の雲がオレンジ色に染まり,その色を映して周りの森も湿原も・・・目の前の全てが不思議なオレンジ色に染まっている。未だ嘗て見たことがない感動的な光景だった。

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【マスタケ。食べない方が良いようです。】
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雪溶け水溢れる尾瀬を行く【3】 [尾瀬ケ原]

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【朝靄の中,朝陽を浴びて浮かび上がる池塘】

3日目ともなると体も自然と尾瀬時間に対応でき,日の出前に起きることにそれほど苦痛を感じない。
小屋を出ると,夜明け前のモノトーンの光景と爽やかな空気が周囲を覆う。さらにこの時期にしては珍しく,朝靄が出ていて幻想的な雰囲気を醸し出している。

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【モルゲンロートの至仏山とその姿を映す池塘群】

空撮している時間帯以外のことも考慮して,下ノ大堀に向かう。
ハイシーズンになると立つ場所もないくらい混み合うこの場所もこの日の先客は僅か1名。
燧ヶ岳の右肩付近がかなり明るくなる。一か月前を思うと日の出の位置は随分と北に移動したものだ。
そして朝靄のベール越しに見る至仏山もみるみるピンク色に染まる。

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【朝靄の下ノ大堀のミズバショウ群落地】

薄い朝靄が漂う中,ドローンも湿った空気を切り裂いて上空へと舞い上がり,眠たげな朝の尾瀬ヶ原の様子を上空から伝えてくれる。
朝陽を浴びた朝靄漂う尾瀬ヶ原もまた幻想的で素敵な光景だ。上田代にも少しだけ朝靄が漂っていた。
雪溶け水溢れる尾瀬ヶ原だが,湿原は枯れ草色から,徐々に緑色の絨毯へと変わりつつあるようだ。

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【朝日に染まる朝靄と朝日に輝く池塘群】

2回ほどフライトを済ませ地上をふと見るとうっすらと白い虹が架かっていた。
慌ててスマホのパノラマモードで撮影すると,辛うじて白虹と分かるレベルの薄い白い虹が映っていた。令和初の白虹との対面である。
この劇的に変化するドラマチックな時間帯も終わり撮影するものが少なくなったので,小屋に戻ることにした。

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【ミズバショウの群落とモルゲンロートの至仏山】

食後にコーヒーを戴きながら,小屋主さんとゆっくり談笑して小屋を後にした。
いつもよりも水かさを増した池塘。そこから常に聞こえる蛙の声に交じって遠くで聞こえるカッコウの声。頬をかすめていく風は,もう冬のそれではなく暖かく優しい・・・ あちこちのベンチでゆっくり休んでは,この日はさらにじっくり尾瀬を味わいながら帰宅した。

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【朝靄のに包まれる朝。この時期朝靄が出るのは珍しい・・・】

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【残雪が溶け出す景鶴山】

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【根開けと残雪と新緑・・・ 尾瀬にも遅い春がやってきた。】
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雪溶け水溢れる尾瀬を行く【2】 [尾瀬ケ原]

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【雪溶け水をたくさん湛えた上田代の池塘群。尾瀬ヶ原湖も現れた。】

日の出も早まり,今は5時前には陽が昇る。それに合わせて早めに小屋を出た。もう,ヘッドライトも必要無い。
ひんやりと湿った空気が漂う静かな道を急ぎ足で上田代に向かう。
日中は暑くても,この日の朝は木道や湿原に霜が降り,うっすらと白くなっていた。
尾瀬ヶ原湖の水は昨日に比べて明らかに減ったが,巨大な鏡は昨日に引き続き健在である。風のない水面には朝を待つ燧ヶ岳や至仏山がくっきりと浮かび上がっていた。

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【尾瀬ヶ原湖に映る朝の燧ヶ岳】

やがて,至仏山頂全体がピンク色に染まる。そして,いよいよドローンを離陸させる。
朝焼けの空とその空を映す尾瀬ヶ原湖を始めとする数多くの池塘がモニターに映し出される。この時期ならではの,そしてドローンを使わないと決して見ることができない光景が広がる。見慣れた光景も劇的に変えるこの撮影機材は明らかに尾瀬の歩き方や撮影スタイルまでも変えた。
やりたいことはいっぱいあるのに体は一つしかないのがもどかしい・・・。

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【一旦水は引きかけたが,一昨日の大雨だまた復活した。】

年々機材は増え,ザックは体力と反比例して重くなり,以前ほど小回りが効かなくなってはいるが,それらのマイナス材料を補ってあまりあるメリットが得られる。しかし,思うような写真も撮れず,あちこち飛び回るうちに何もない穏やかな朝となった。

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【この日の朝はかなり冷え込み2℃。霜が降りて木道や湿原も白くなっていた。】

平日の早い時間のせいか,下ノ大堀の定番ポイントまで歩く間,全く人に会うことがなかった。
2週間ほど前はまだ雪の下にあったこの場所は,今ではすっかりミズバショウが見頃となっていた。ボクを尾瀬に誘ってくれたこの憧れの光景をゆっくり眺めながら軽めの朝食をとる。清流の流れを見,遠くのカッコウの声を聞きながら贅沢な時間が流れる。のんびりしていると上空をどんどん雲が流れ,絶好の被写体となった。

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【下ノ大堀のポイントのミズバショウ群落。いい形の雲が流れてくれた。】

ちょっとベンチで休み,龍宮の出入り口,長沢のミズバショウ群落の様子を確認して龍宮小屋に向かった。
今年はこの木道周辺がかなりシカに踏み荒らされていると感じた。長沢のミズバショウの群落地も激しく掘り起こされていた。
その横には,今年もシカの食害調査ための柵が空しく立っている。
調査のための調査では何も変わらない。調査はもういいから本格的な対応を望むばかりである。何のための調査なのか甚だ疑問になる。

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【間もなく月が昇る頃。至仏山や景鶴山には既に月の光が当たって浮かび上がる。】

約一月ぶりの龍宮小屋。小屋主さんと談笑してから荷物を小屋に預けて尾瀬ヶ原を半周することにした。
あのトガクシショウマの咲き具合も確認したいし,身軽になって見晴経由で赤田代に向かう。
温泉小屋ではヘリが荷物を運んではそれを小屋に運び込むなど本格的なシーズンを前に慌ただしく準備が進められていた。
ちょっと雪の多い山道に進むが残雪の残り具合は予想以上に大きく,トガクシショウマの見頃はずっと先と行った感じがした。
東電小屋経由で龍宮小屋に戻る。

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【ミズバショウのブーケ。こうしてまとまって咲いているのを何カ所かで見かけました。】

前日の寝不足解消とこの日の夜に備えて部屋でちょっと横になる。尾瀬でこんな時間に休むなんて何と贅沢なことか・・・
おかげで頭もスッキリ! 入浴や夕食を早々に済ませ,夕刻の撮影に備えた。
夕方はピーカンで思うような夕焼けにはならなかったが,この日も満天の星が尾瀬を包んだ。

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【オチクラミズバショウ。今年はなぜか多く見かけました。】

この日も雪溶け水溜まる龍宮付近の池塘に行き,カメラを持ち出して星の撮影を行った。
至仏山の中腹辺りを赤い光が左右に移動する・・・ 何だろうと思い確認するとシカの調査のためにドローンを飛ばしているという。
そう言えば昨夜も夜中にドローンらしきものが飛んでいた。
月が昇る時間帯になると,至仏山や景鶴山に月光が当たり明るく浮かび上がる。何とも幻想的な光景を目にすることができ満足の2日目だった。

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【リュウキンカも大きな株は木道と木道の間で見かけるくらいになってしまいました。】
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雪溶け水溢れる尾瀬を行く【1】 [尾瀬ケ原]

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【雪溶け水と大雨で復活した尾瀬ヶ原湖】

尾瀬の雪溶け水が溢れて湿原を覆い,尾瀬ヶ原をつくる原因の一つになった太古の尾瀬ヶ原湖を彷彿とさせる光景が,この時期の僅かな期間見ることができる。
どうもこの「期間限定」とか「ここ限定」との言葉に弱く,この言葉を聞くと何としても行きたくなってしまうから困ったものである。
しかし,この期間は思っていたよりもかなり短く,雪どけ水が湿原を覆うと同時に,どんどん湿原に吸い込まれていくのでその見頃は僅か数日しかないようだ。今年も天候を見ていつ行くか悩んでいるうちに見頃は過ぎ去ってしまった(;_;)・・・ ように思えた。

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【鳩待峠~山の鼻に向かう途中,フォトジェニックな雲が出迎えてくれた】

しかし,九州地方に大雨を降らせた低気圧が関東地方にも押し寄せ,鳩待峠~山の鼻を通行止めにした。この雨のおかげで,なくなりかけていた湿原が増水して幻の湖がまた見れるかも・・・と期待が膨らむ。
翌日,通行止めは解除され,絶好の好天に包まれた尾瀬を訪れるべく鳩待峠に向かった。
鳩待峠着は午後3時。山ノ鼻に向かう途中,通行止めの影響で尾瀬滞在が延び下山する花見さんに遭遇し,大雨による影響や尾瀬ヶ原湖の情報をもらった。ちょうど良い時に来たようだ。

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【初日には山の鼻に近い所には結構雪は残っていたのだが・・・】

少しでも条件の良い時に幻の湖を見ておきたいとの思い,一旦山の鼻小屋で受付を済ませて,必要な物だけを持って上田代へ。やや風はあったもののいつもよりも多くの雪溶け水を湛えた尾瀬ヶ原湖を目にすることができた。
ドローンを使って上空から見ると,たくさんの水を湛えた多くの池塘が夕陽に輝いていた。
この池塘に満天の星が映し出される光景を何としても撮りたいものだ・・・。

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【いわゆる「尾瀬ヶ原湖」の中心部分。いつになく水量も多く感じられた。】

山の鼻小屋のこの日の宿泊者は3名。食事をして風呂に入ってのんびりしていたら,少しうとうとしてしまった。今日の月の出は10時頃。その前に上田代に向かわないと・・・。
木道には小動物が歩いた足跡。さらに目の前を横切るシカに驚かされながら先ほど下見をした辺りに三脚を構える。

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【水が豊富で水が溢れたり,氾濫したりもするが,引くのも速い】

雲一つ無い空に広がる満天の星。風も収まり,波一つない幻の湖にその星は映し出され,上下左右360°周りをぐるりと春の星座に包まれる。蛙の声を聞きながら,至高の時間を味わうことができた。
寝静まった小屋に戻り,余韻に浸りながらゆっくりと休んだ。

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【幻の尾瀬ヶ原湖に映る春の星たち・・・】
【ここに掲載している空撮画像撮影にあたり,関係各所への連絡し承認を頂いております】
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紅に染まる至仏山 [至仏山]

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 残雪期の植生保護のため5月7日から6月30日の間,至仏山登山道が閉鎖される。ここ数年少雪傾向だったが,今年は残雪も多めなので,できることなら閉鎖になる前に登っておきたいと考えていた。GW前半は不安定な天候が続き,チャンスはなかなか訪れない。やっと,後半に良い予報が並んだ。ここで行かないと次は7月だ。

 朝陽に染まる至仏山が見たいと思い,前日に家を発って鳩待峠で仮眠することにした。睡眠時間僅か1時間足らずで車を出ると満天の星空が広がる。月もなく,蠍座も天の川も頭上に横たわっていた。

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【朝の柔らかな光を受けて輝く至仏山の残雪】

 暗い道をライトの光だけを頼りに進む。月明かりはないものの,残雪があるおかげで地面の様子もほぼ一定だし,夜だと気温も低く雪も締まりアイゼンがよく効く。他の時期よりも寧ろ歩きやすいくらいだ。まだ,広葉樹林帯の葉も茂っていないから,枝の隙間から垣間見える星空を望ながら登れるのは心強いし,楽しい。しかも雪面からの照り返しもなく快適に登れる。ただ,この時期は,道迷いと滑落には十分注意が必要だ。

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【朝陽に染まる小至仏山から笠ヶ岳に続く稜線】

 先週,尾瀬を歩いたばかりなので,それほど疲れを感じないままオヤマ沢田代に着く。既にヘッドライトも必要ないくらい明るくなっていた。所々にある道迷い防止の赤い布を見落とさないように気をつけ,高さを稼ぐ。夏だと大小の岩を乗り越えたり,濡れて滑る木道を恐る恐る歩いたりするなど,状況に合わせて歩く必要もあるが,今はひたすら単調な雪の傾斜を修行のように進むのみ・・・。もうすぐ小至仏山という辺りで燧ヶ岳のかなり右の方から太陽が顔を出した。

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【春眠暁を覚えず・・・ 上越・越後の山々も眠たげです】

 ザックが転げ落ちない場所を選んで荷物を置き,空撮の準備を進める。暁の空に新ドローンMAVIC2が飛び立つ。多少の風にふらつくこともなく,安定して飛んでいるのは心強い。太陽の光が強くなるにつれ,至仏山の残雪が徐々に紅に染まっていく。GW中に多数のスキーヤーが刻んだシュプールも繊細で緩やかな絹のような凹凸もはっきりと分かる。降雪直後ならもっと綺麗で残雪たっぷりの至仏山を撮影できたと思うが,これだけでも十分すぎるくらい美しい。小至仏山まで空撮できたら帰ろうとも思っていたが,暫く残雪期の至仏山に登っていなかったし,時間もあったので山頂を目指すことにした。

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【平ヶ岳遠望】

 小至仏山頂を巻くように付けられた狭い登山道をアイゼンを引っ掛けないように注意しながら慎重に進む。鞍部からは夏道と違い,右寄りの雪の上の道を歩く。花はもちろん咲いていないので楽しみは少ないが,歩きやすさから言ったら夏道よりもずっと上だ。全く人と会うこともなく山頂に到着。この日の最初の登頂者となった。

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【燧ヶ岳と至仏山のコラボ】

 暫く貸し切り状態で,山頂からの眺めを独占した。雲一つ無い空,眩しい光に輝く残雪たっぷりの尾瀬ヶ原,耳を澄ますと聞こえるウグイスの声・・・ この至福の時間を思う存分味わった。GWも残り2日。休み明けに備えて今日は登山者は少ないのかなと思ったが,徐々に山頂に人が溢れてきた。最終的にはこの日は100人ぐらいの人が入れ違いに山頂を目指した。山頂からも数回空撮をしたあと,朝食をとって早めに下山した。

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【トカゲ岩付近からの尾瀬ヶ原。既に池塘周りは変色が始まっています。】
【ここに掲載している空撮画像撮影にあたり,関係各所への連絡し承認を頂いております】
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新雪に覆われた春の尾瀬【2】 [尾瀬ケ原]

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【降ったばかりのフカフカの雪に朝の柔らかな光が当たる】

夕食後も雪は激しく降り続け,一晩だけでも10cm位は積もったようだ。一度,尾瀬沼で春の雪に降られて歩くのもままならない事はあったが,尾瀬ヶ原ではほとんど記憶にない。
その雪も午前2時頃には上がり,上空には下弦の月や星が輝いていた。朝が楽しみだ。宿泊者は多かったが明るくなっても小屋が静まりかえっていたので,やや寝過ごした。

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【光が湿原を照らし出すと,一気に息をのむほどの美しさに変わる】

今回のお目当ては,綺麗な雪原を上空から新ドローンMavic2で撮影することだ。NHKが取材で使うFantomレベルの映像も撮影できる優れものだ。
小屋を出ると目の前に広がるのは,踏み跡もほとんどない,穢れのない真っ白な湿原。しかし,雪は止んだものの山頂は雲に隠れ,星が瞬いていた空は雲に覆われて時折雪が舞っている。これぐらいなら空撮はできそうだ。離陸すれば何処にでも行けるので何処で離陸するかはあまり意味をもたないが,一眼で撮る場所も考えないといけないので,辺りをウロウロと歩き回る。

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【昨日の雪が残雪の汚れや凸凹を覆い隠し,厳冬期さながらの光景を見せてくれる】

取り敢えず下ノ大堀川の傍らに荷物を置き,フライトを始める。飛ばし始めると急に湿原が明るくなる。
東の空の雲の切れ間から漏れた光が真新しい真っ白な雪の上に降り注ぎ始めた。
太陽の柔らかな光が凹凸のない絹のような雪面が浮かび上がらせる。湿原や池塘のほとんどは雪の下で,葉を落とした拠水林と雪どけ水を湛え湿原を流れる川の流れが目立つ。
ふと,地上に目を遣ると逆光に降ったばかりの雪がキラキラと輝く。
やはり無理をしてでも来て良かった・・・。

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【大型連休中とあって,新雪を踏んで続々と人が入山してくる】

その後は暫く龍宮小屋に長居をして,10時過ぎにやっと小屋を後にした。
時間と共に雲も取れ,徐々に気持ちよい青空が広がる。暖かくなって埋まったり,滑ったり,踏み抜いたりと時間と共に歩きにくくなっていたが,木道にとらわれず,自分の決めたルートで行きたいところを自由に移動できるのは,この時期ならではだ。
普段見ることのないアングルから見る至仏山や拠水林をたくさん撮影して下山した。

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【葉を落とした拠水林越しに雪どけ水を湛えた川の流れが窺える】
【ここに掲載している空撮画像撮影にあたり,関係各所への連絡し承認を頂いております】
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